研究内容
皮膚摩擦により惹起された触覚の生理学的計測法の確立
私たちは日常生活の中で,指で物に触れたりなでたりするとき,さまざまな感触を感じています.こうした触覚は,皮膚表面の摩擦刺激が神経を介して脳に伝わることで生じており,脳の特定の部位を活性化させることが知られています.近年,この仕組みを解明しようとする研究が増えてきており,触覚と脳活動の関係への関心が高まっています.脳の活性状態を調べる手法としては,脳内の血流変化を高い空間分解能で画像化できるfMRI(機能的磁気共鳴画像法),頭部への近赤外光照射により比較的簡便に血流変化を計測できるfNIRS(機能的近赤外分光法),そして脳の電気活動をリアルタイムで記録できる脳波(EEG)測定などがあります.これらはそれぞれ異なる特長を持つことから,研究目的に応じた適切な手法の選択と,信頼性の高いデータ取得のための標準的な実験プロトコルの整備が重要となります.しかし,指のすべり摩擦という動的な触覚刺激を対象とした場合,計測手法の選択やデータ処理方法が研究者間で統一されておらず,再現性・比較可能性の面で課題が残されています.そこで本研究では,指のすべり摩擦刺激に対する脳反応を安定して計測できる実験手法の確立を目指しています.